「会社を遅刻したら罰金」は違法?労働基準法を調べてみた

遅刻による罰金制度 ブラック企業

あなたの会社には遅刻に対しての罰則はありますか?

僕の会社にはあります。

なんと、遅刻一回につき1万円の罰金。

いくら遅刻する本人が悪いとはいえ、少しひどいですよね。

 

ちなみに、うちの会社では事あるごとに給料からいろんなお金が差っ引かれます。

その上、ちょっとした費用もすべて本人持ち。

高速代は自腹。

駐車場代も自腹。

雇用者の義務である健康診断の費用も自腹です。

残業代は一切出さないくせに、引くところは引くという本当にロクでもない会社だぜ!

 

さて、話を戻しまして、僕が働いている会社では一回の遅刻に対して1万円の罰金。

さらに10分遅れるごとに千円の罰金。

 

例えば1時間遅刻をすると、基本料金の1万円に60分の延長料金(千円×6)が取られ、1万6千円の罰金となります。

エグー。

 

僕の会社は極端だと思いますが、遅刻に対して罰金制度を取り入れている会社は少なくないと思います。

「たった5分なのに罰金とられた」なんて話もチラホラ聞きます。

 

しかしこの罰金による減給制度。

果たして制度的には合法なのでしょうか?

 

労働の対価として従業員に賃金を払うのは雇用者の義務です。

遅刻したとはいえ、会社の都合で給料を減らすという話が正しいとは思えません。

罰金で給料を下げるのは違法だ、なんて意見も聞いたこともあります。

「遅刻による罰金は支払う必要があるのか?」

そのあたりを労働基準法の観点から調べてみました。

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遅刻による減給は合法!給料を減らされても文句は言えません

法律の話をすれば、従業員に対して罰金を請求することは違法です。

このことは労働基準法24条にも定められており「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」とされています。

 

つまり、雇用者は労働者が働いた分に関しての給料は全額払うべし。罰金によって減らしてはいけない、というわけです。

一日8時間働いたなら、8時間分の給料は払わないといけないし、過失があったからと言って罰金をとるのは違法なんです。

 

じゃあ、遅刻による罰金は払わなくていいの?

 

しかし残念ながら、遅刻によって給料を減らされることは違法じゃありません。

確かに『罰金』という形で従業員にお金を請求することは違法ですが、正当な理由による『減給』は合法なんですね。

 

例えば、遅刻によって労働時間が1時間減ったらどうですか?

一日8時間労働の職場だと、1時間も遅刻をしたら労働時間は7時間になりますよね。

 

労働基準法にはノーワーク・ノーペイの原則があります。

働かない者(No Work)に対しては給料を支給しなくて良い(No Pay)という原則です。

遅刻よって労働時間が減れば、会社側は減った労働時間の分の給料を支払わなくていいんです。

 

このことから、遅刻による減給は合法となります。

「働いた分は支給されるべきである」という一方で「働いていない分については支給しなくても良い」ということなんです。

減給額には上限がある!過剰な給料の値下げは違法です

遅刻に対する減給は合法だとしても、いくら減らすのかが会社のさじ加減だったら、えらいことになりますよね。

「10分につき1万円減らす!」なんて言われたら、2時間も遅刻すれば給料無くなっちゃいます。

 

そのため減給額には制限があります。

会社は好き放題引いていいわけじゃないんです。

労働者保護のために「減給するにしても、ここまで」という線引きがあるんですね。

 

その線引きとは

  • 1回の減給額が平均賃金の1日分の半額を超えないこと
  • 減給の総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えないこと

この2点です。

こちらは労基法第91条に書かれています。

 

例えば、1ヶ月の出勤日数が20日で、月給が20万円とします。

1日あたりの平均賃金は10,000円となるので、1回の減給額がその半分の5,000円以上であれば違法となります。

また、ひと月の減給の総額が月給の10分の1以内とされているので、1ヶ月の減給総額が2万円以上になっても違法です。

 

この2点が守られている範囲内であれば減給は合法。

しかしどちらか1点でも破っていれば、それは違法。

 

さっきの出勤日数20日で月給20万円の例で言うと、1回あたり5,000円以内であれば合法ですが、5回遅刻したからと言って上限2万円を超す2万5千円を引いてはいけないということです。

 

この点を把握して、会社から過剰に搾取されていないか確認しましょう。

払わなくていいお金を支払ってしまっているかもしれません。

泣き寝入りにならないように就業規則を確認してください

労働基準法の範囲内だからと言って、会社はいきなり「今日、遅刻したよね。じゃあ5千円の罰金ね」というようにはできません。

減給するにしても、その内容を就業規則に定めて従業員に伝えておかないといけないからです。

 

被雇用者が知らないところで就業規則に定まっていない減給を行うのは違法です。

まずは就業規則を見て、請求された減給額が正当なものかどうかを確認しましょう。

 

そしてここからが本題ですが、実際のところ労働基準法がどうだと言ったところで、会社から「罰金払え」と言われたら従わないといけないケースが多いと思います。

雇われ人の立場の弱いところで、正論で闘っても「気に入らないのなら辞めれば」で終わります。

今後も続き働くことを考えると言う事を聞くしかないわけです。

 

泣き寝入りをしないためにも、就業規則はしっかりとチェックしておいた方がいいです

就業規則がおざなりになっている会社は気を付けた方がいいかもしれませんね。

 

また極端に会社に都合のいい内容になってる場合は、その会社で働かない方がいいと思います。

労働者をコキ使おうとする魂胆が見え見えです。

 

実際にうちの会社の就業規則にはとんでもないものがありますよ。

  • 退職する場合は辞める一か月前に会社へ報告するとして、違反した場合はその月の給料は支払われない。
  • 就業時に担当していた顧客がクレームを起こして損害が出た場合、退職後であってもその損害額を請求される。
  • 業務の引継ぎを完了させてから退職するものとし、引継ぎが終わらない限り辞められない

あまりに会社にとって都合が良すぎる内容で、就業規則なんて従業員を縛るための道具でしかありません。

 

このように、就業規則でも会社がまともかどうかが分るので、チェックはとても重要です。

ロクでもない規則で縛ろうとしてきたら、早々に辞めた方がいいですよ。

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