「こんな会社、辞めたらぁー!!」
ブラック企業で働く人なら一度は思ったことがあるでしょう。でも思うだけで実際に行動へ移す人は少ないです。
なぜならブラック企業を辞めるのって、めちゃくちゃ面倒くさいから。
退職するのも一苦労です。確実に会社と揉めることになるでしょうね。
うちの会社でも退職した人間は何人もいますが、円満に終わった人間は一人もいません。全員、何かしら会社と揉めています。
- 執拗な引き止め
- 上司からの罵声
- 退職時の嫌がらせ
会社を辞めるためには、このようなあらゆる試練を乗り越えなくてはいけないんです。
僕も過去に「会社を辞めたい」と言ったことがありますが、即座にグーパンチが飛んできましたからね。ブラック企業を辞めるというのは、まさに命がけの作業。
そこで考えるのが『飛ぶ』という行為です。退職を認めてもらえないなら、バックレてしまおうという作戦。
しかし、正直言って会社を飛ぶのはあまりお勧めはしません。
なぜなら飛ぶことによっていろんな支障が生じるからです。
僕は過去に急に会社へ来なくなった社員を何人も見てきました。
そして、その後の処理も何でもさせられていたことがあります。
その中で学んだ『会社を飛ぶときのリスク』についてお話しします。
社員に飛ばれた会社がその後にとる行動
最初に会社を飛んだらどうなるのかについてお話ししましょう。
まず、急に居なくなっておいて何もおとがめがないということはありません。相手はあのブラック企業です。捕まえて報復しようとしてきます。
社員が飛んだときに会社が取る行動の基本的な流れは次の通りです。
1.自宅を見張る
一番最初やらされることは、自宅への貼り込みです。万が一、飛んだ社員が部屋に戻って来たときに捕まえるためです。
別の人間と交代制で玄関を見張り、24時間体制でずっと待ち構えています。まるで刑事並の張り込みですよ。
また、ウチの会社は基本的に社員を寮に住まわせているので、飛んだ瞬間に合鍵を使って部屋の中を片っ端から調べます。そこで逃亡先のヒントが無いか探すわけです。
部屋の中の残留物、そしてポストにたまっている郵便物まであらゆるものをくまなくチェックします。
居所を知ってそうな人が見つかれば電話突撃。本当、犯人探しのようですね。
部屋を家宅捜査したあとは、取り付け式のドアロックを玄関のにかけます。もし本人が戻ってきても部屋の中に入れないようにするためです。
飛ぶ人間の中には、計画性もなしに突発的に行動に出る者もいます。「もう耐えられねー」と思って家を飛び出すわけですが、その場合は大半が冷静になってから部屋に戻ってきます。
しかし戻ってきた後に、本格的に家出する準備をされたら面倒でしょ?だからドアにロックをかけて戻れなくするんですよ。そうすれば、最終的に鍵を持っている会社に泣きつくしかないですからね。
飛んだ社員を捕まえようとしたり、追い込んだりと、やることが普通じゃありません。でも飛べばあなたも同じような目にあいますよ。
2.実家・友達・知人に連絡
部屋の中を探って足取りがつかめなかったら、分かる範囲で身内や友達などに連絡をして行き先を知らないか聞いて回ります。
ここでも普通に聞くわけじゃないですよ。もしかしたら、本人が既に根回しして「連絡がきても何も言わないで」と指示しているかもしれませんからね。ポロッと本音が出そうな聞き方をするんです。
「仕事上のトラブルを起こしてまま急に居なくなったので、こちらとしても困っている」
「事を荒立てるつもりはないが、このまま連絡が取れないようであれば、こっちも出るとこに出ないといけない」
「穏便に済ませたいだけなので、もし知っていることがあれば教えて欲しい」
このように、ちょと被害者を装いながら、被害届けを出すことや裁判も考えている的な言い方で、遠まわしに相手を脅します。
いろんな揺さぶりをかけて「正直に教えてくれた方が本人の為だから」という方向に話を持って行き、知ってることを聞き出そうとするんです。
「このままだど本人の立場が悪くなる」みたいなことをいろいろ言われると、身内だけに心配になってポロッと本当のことを言っちゃったりするんですよね。
それに、会社から追いかけられるなんて状況はハッキリ言って異常です。問い詰められると聞かれた本人も疑心暗鬼になってどうしていいか分からなくなるんですよ。
その心の隙をついていろいろ聞き出します。ブラック企業の手口は本当に容赦ない。
3.住民票を調べる
計画的に事に及ぶ人間って、用意周到に住民票を引越先に移してたりします。
でもそれが逆に仇になる場合があるんです。
住民票って、全く関係ない第三者でも取れるので、そこから住所が割り出されてしまうんですよ。
一応、他人が住民票を取る場合は委任状が必要なんですけどね。
でも書面上のことなんて簡単に成り済ますことができるので取り放題です。
市役所や区役所も、住民票を取るぐらいでは本人確認をそこまで厳重にしないんですよ。
まさか所員も従業員を追っかけるために住民票を取りに来たなんて思ってないでしょうけど。
住民票から現住所がバレる可能性があるので、飛んだあとは一時の間、住所を移すことができません。
公的な書面を受け取ることができず、いろいろと支障が出ることになります。
会社をバックレたことで身に降りかかるあらゆる支障
会社と揉めるのが嫌で飛ぶのはいいですが、飛んだら飛んだで後々、面倒なことが出てきます。
ブラック企業は簡単には逃してくれないので、下手すれば親や恋人など、周囲の人間を巻き込むことになりかねません。
そして一番の支障は、ちゃんとした手続きを踏んで退職しておかないと、その後に必要ないろんな申請ができないということです。
失業保険がもらえなくなる
勢いで会社を飛びだしたのはいいですが、その瞬間からあなたは無収入になります。貯金があればいいですが、なければ一気に生活が困窮することとなりますよ。
「失業保険をもらえばいいじゃないか」と思いますか?
しかし会社をバックレれば、その失業保険がもらえない可能性があるんです。
失業保険は読んで字のごとく、仕事を失った人におりる保険です。もらうためには仕事を辞めたことを証明する離職票という書面が必要なんです。
離職票は、通常は会社に申請して出してもらうことになります。
しかし急に居なくなた社員のために、会社がまともに対応してくれると思いますか?ましてや相手はあのブラック企業なんですよ?
失業保険の申請ができないというのはかなりの痛手です。
全てが煩わしくて飛びたくなる気持ちも分りますが、一切の連絡もなくバックレてしまうのは止めましょう。
健康保険・厚生年金の手続きができない
正社員として基本的な福利厚生である『健康保険』と『厚生年金』
今の会社を辞めたとしても、再就職先で新たに加入することになると思います。
しかし会社を飛んだ場合、これらの手続きができない可能性があります。
通常、退社した人間が出れば、会社は『健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届』を年金事務所に提出して、保険を外す手続きをとります。そしてその際に健康保険証の返還を求められるんです。
でも、そういった手続きをせずにあなたがバックレてしまったらどうでしょう?健康保険証は返還されず、手続きが終わりません。
そうなると、国民健康保険に切り替えたり、次の職場での健康保険の加入ができなくなるわけです。
飛んだらそれで全てが終わるわけじゃありません。退職後の手続き、そして再就職の手続きのためにも、辞めるときは正規の手順を踏んだ方がいいんです。
もしものときは労働基準監督署とハローワークへ相談を
会社と争うことになると思うと、怖くなってしまうかもしれません。もし怖くて会社とのやり取りができないというのであれば、労働基準監督署やハローワークに相談しましょう。
直接、本人から連絡しなくても、これらの機関を通して会社とやり取りをすることができます。
ぶっちゃけブラック企業って、このような行政からの指導が怖かったりするんですよね。思った以上にスンナリ話が進むと思いますよ。
会社に行きたくないのなら、退職の申出は書面でもできます。飛ばずともやりようは他にもあるんです。
一人じゃどうしようもないと思ったら、まずは行政の機関に相談してください。きっとバックれるよりも良い方向に話が進むはずです。
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